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第 26 回 愛される店作りこそが、最強のリスク対策

2021.11.28

 人にとっての食事行為は、他の動物の摂食行動とは全く異なります。
人の場合、それは本能を超えた悦びであり、複数で囲む食卓は、人間社会における『 毛づくろい 』の場でもあります。従って会食は人と人との絆を深めますし、お洒落な店での二人だけの親密な食事は、時に新しい人生への扉までも開きます。また例え一人での外食でさえ、店のホスピタリティーや空気次第で料理の味は引き上げられ、至福の時間となり得るのです。
 しかしながら私達は新型コロナウイルスによって、戦争でもないのに『 日常 』が、あっと言う間に奪われてしまいました。

 オミクロン株と命名された新たな変異ウイルスが出現し、世界中で厳戒態勢がとられ始めました。今後の推移を確定的に予測なさる専門家はおられませんが、例えコロナが終息したとしても、パンデミックは今回が最後ではなく、また最悪であるとは限りません。イプべス( IPBES 生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム )は昨年10月、「 新型コロナウイルスの様に動物を宿主とし、人への感染の恐れがあるウイルスは、現在85万種存在する。人への感染の恐れがあるウイルスが毎年5つ前後発生していて、その何れもが、パンデミックに発展する可能性があった 」と警鐘を鳴らしています。
また地球温暖化によって溶け出したシベリアの永久凍土からは、数万年前のウイルスが現れ、息を吹き返し地上に存在しています。それらの中にもし人類が接したことの無いウイルスが有れば、私達の免疫システムは、全く役に立たないそうです。
 その他にも私達にとっての脅威は、地震、風水害、富士山などの噴火による降灰、抗生物質が効かないスーパー耐性菌など、枚挙にいとまが有りません。当然ながらこれらの災害に対しては、早急に情報をかき集め、可能な限りの減災対策を取ることが必要です。その上で不運にも私達の店が災難に遭って一時休業を余儀なくされたとしても、愛されているお店にはお客さん方が、再開後には必ず戻って来てくださいます。今次のコロナ禍にあってもお客さん方にとって掛け替えの無いお店は、さきめしや寄付型のクラウドファンディングなど、様々な恩恵に浴しました。
 今後インフレが本格化し値上げせざるを得ない局面が到来しても、お客さんが快く許容してくださるような店作りを、鋭意構築してゆきたいものです。

 更に『 愛される店作り 』は、食べに来てくださる外部顧客だけを対象とするものではありません。内部顧客であるスタッフさんにとっても、『 掛け替えの無い職場 』だと思ってもらえることが必要です。何故ならば素晴らしいホスピタリティーとサービスと料理を外部顧客に提供し、収益と成長をもたらしてくれるのはスタッフさん達だからです。従ってスタッフさん達の為に職場環境を整え、成長を願って助言・育成等の支援をし、仕事ぶりを常に注視して結果に見合った称賛と報奨を与えることが肝要です。これらの成果は更なる業績向上に繋がりますから、挙がった収益をまたスタッフさんに還元することで、理想的な好循環が生まれることになります。
 今回のコロナ下でも、スタッフさん達から出されたアイデアと奮闘が、業績を起死回生させた事例が有りました。

 人口減少なども含め不確実性の時代は、今後も長く続いてゆきます。次々と課題を克服しなければならない飲食店の継続営業は、荒波を乗り越えて進む遠洋航海船の様です。外部顧客だけでなく内部顧客と出入りの業者さんまで大切な資源・資産と考え、『 真に愛される飲食店 』を、鋭意構築していただきたいと思います。勿論のこと、ジェンダー格差も解消していってくださいね。

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