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第 22 回 新型コロナウイルス感染症と飲食店 (2) 対策の強化

2020.03.05

 新型コロナウイルスの感染が世界規模で広がり、感染者の総数は、表面化しているレベルに止まらないことが判ってきました。この事態を受けて誰もが感染を警戒し、外食の敬遠をなさるようになってきています。

 日本における感染拡大は、そもそも今年1月に中国内で感染が広まった後も、2月1日まで中国からの渡航者を、制限なく受け入れてきたことに端を発します。観光庁の発表によると、1月の訪日中国人数は過去最高の92万4800人だったそうです。また、ダイヤモンド・プリンセス号の下船者に公共交通機関を使った帰宅を許してしまった上( その内の複数が、当初陰性だったものの後に陽性となりました )、23人もの乗客を、未検査のまま帰宅させてもしまいました。
更に驚くべきはプロである厚生省職員や検疫官が、ダイヤモンド・プリンセス号での船内作業を、防護服をきちんと身に着けず行っていたのです。一事が万事と言いますが、以上だけ考えてもこの感染拡大は、今後も長く続くと予測せざるを得ません。

 私はこの諸々の責任は、いずれ追及されるべきだと思います。何故ならば、東日本大震災と福島原発事故から教訓を得て活かすべき政府と行政が、あまりにもずさんな危機管理しかしてこなかったからです。しかもこれまでの場当たり的な対応は、正に目を覆うばかりです。
もしこれらの責任が看過されたならば、また同じことが繰り返されます。
 
 しかし本コラムは、飲食店向けのコンサルティングコラムです。従って誰かを糾弾するのではなく、飲食店がお客さんの不安を可能な限り軽減し、売り上げ減少に歯止めをかける為の対策についてだけ、お話しすることにいたします。

 先ず何よりもしなければならないことは、安全対策の更なる徹底です。
そしてその皆様の決意と取組みを、是非お客さん方にアピールなさるようご提案申し上げます。
アピールには、張り紙や印刷したリーフレット( 印刷屋さんに、上質紙で作成してもらうことをお勧めします )、またウェブサイトやSNSも、総動員なさるようお願いいたします。
もちろんのことその前提として、従業員さんへの充分な研修が不可欠です。そうすることで従業員さん方は、お客さんが安心感を抱いてくださる様な衛生対策を、目に見える形で実践できるようになるからです。
いくら手洗いを徹底しているとアピールしても、従業員さんが営業中、顔や髪に手をやっていたのではぶち壊しになってしまいます。研修では新型コロナウイルスの基礎知識、注意事項、作業内容のルールを印刷して配り、それをもとに充分な衛生観念の浸透を図っていただきたいと思います。研修が成果を挙げれば健全な恐怖心が芽生え、必要な行動が、しっかり取れるようになってゆきます。
 

 高級料理店の中からは、お客さん同士の感染を防ぐ為として、1日3組限定の貸し切り営業を取り入れる店が出てきました。私の知人が経営するフレンチ・レストランも、個室1組ダイニング1組のみの、完全予約制の営業を始めました。両店ともに、特別料金はありません。
しかしながら世に存在する多数の飲食店は、業態、店舗の大きさや形状、客単価、経営規模など全てが違いますから、どんな対策でも取れる訳ではありません。従って個々のお店の事情によって、最大限の可能な努力をしてゆく以外、方法は無いと思うのです。またこの流行が、いつ終息するのかも不明なのですから。
重要なことはお客さんの不安感を無くすこと、そして信頼を獲得することです。どうぞお客さんからの納得と共感を呼ぶ様な努力を、細心の配慮を込め、実践していただきたいと思います。

 どの様なお店でもできることは、消毒用アルコールボトルの設置だと思います。客席だけでなくトイレの中や手洗いスペースにも置き、お使いくださるよう、お客さんにお願いしてください。また従業員さん用に、レジ横など数カ所に設置することも必要です。充分な手洗いをすると宣言し敢行するだけでなく、とっさの時にも小まめに手指の消毒ができるからです。食材や食器をいくら完璧に洗浄しても、それを持つ従業員さん方の手に問題が有れば、意味を成しません。タブレットやクレジット・カードの端末、営業用電話機や筆記用具など、そしてトイレのドアノブと使用後の便座も、常に衛生を保つことが求められます。
 またこの時期には、例え高級店でなくても白衣やユニホームなどを、毎日着替えることもご一考ください。目に見える清潔度は、何よりのアピールとなります。そして、決して汚れた手で触れないことが肝要です。ましてや濡れた手を前掛けで拭くなど、もってのほかです。そんなことがもしお客さんの目に触れれば、お店への信頼は吹き飛んでしまいます。因みに、手を拭くのに布タオルをお使いのお店がありましたならば、使い捨てペーパータオルに変えられるようお勧めいたします。
 
 カウンター席は椅子を何脚か抜き、お客さん同士の距離を保つことも重要です。仮に定食屋さんでもテーブル席を相席にしないことは申し上げるまでもありませんが、箸やカトラリーは他のお客さんが手を触れることのないよう、個別に差し上げなければなりません。また取り皿や取り分け用の箸やトングも、必要数を用意していただきたく思います。そしてお客さんがお帰りになった後のカウンターやテーブル、更に調味料の容器などは、消毒液を使い丁寧に拭くことが必須です。
 
 ホールスタッフさんのマスク着用の実施にも、感染拡大が続く今は、良いタイミングだと思います。業態によってホールでのマスク着用は、失礼で見苦しいという声もあります。しかしマスク着用はいわゆる咳エチケットで、お客さんの健康への配慮なのです。前述のアピールに了解のお願いを丁重に併記すれば、お客さんからは、安心感を持っていただけると考えます。

 衛生の問題だけに止まりませんが、全てのことはお客さん本位に考え、また自分のこととしても想像すれば、避けるべきことや採るべき最善策は見えてきます。
三人寄れば文殊の知恵と言いますが、衛生研修の際に全員で考えを出し合って、できる限りの対策を立てられますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

 私が経営していた店では、『 私達の仕事には、名誉と生活が懸かっている 』という合言葉を、全員で共有していました。
この新型コロナウイルスは、どれほど感染拡大するのか予断を許しません。
流行が終息するまでは臨戦態勢を敷き、この非常事態を、是非乗り切っていただきたいと思います。

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