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第 14 回 『 求人への応募者が、面接に来ない 』をゼロにする

2019.06.13

 無料で料理を提供すれば行列ができるのと同様、調理補助やホール係を『 週休3日、社会保険完備、拘束時間1日8時間、年収1,000万円以上 』で求人すれば、飲食店の人手不足は一気に解消します。
しかしそれでは事業として成り立ちませんから、採算を求め、給与・処遇・待遇に頭を悩ませることになる訳です。
 
 優良な事業体はどんな業界であれ、ポテンシャルの高い人財を獲得するために、より良い給与待遇や労働環境を整えようとしてきました。
しかし同業他社比で格段上の雇用条件でない限り、求職者に納得し就職してもらう為には、先ず面接にまで来てもらわなければなりません。

 さてその面接ですが、実は電話を受けた瞬間から、また応募メールを受信した瞬間から既に始まっています。もちろん選ばれているのは応募者ではなく、採用する側です。

 応募者には、『 是非ここで働きたい 』という気持ちになってもらわなければなりません。
電話もメールも迅速かつ丁重な対応が必須ですが、更にもう一歩踏み込んで、応募者に好感を持たれる『 プラスアルファ 』を工夫していただきたいと思います。
また経営者は日頃から、『 自分の生活は従業員が支えてくれている。全てはこの人達のお陰なのだ 』と本心から思えるようになっていただきたいとも思います。この心境に至るための、特別な努力は必要ありません。従業員がいなくなったら一体どうなってしまうのかと、少しのイマジネーションを本気で働かせてみれば事足りるのです。そしてこれに成功すれば、そこから全てが好転します。

 大手人材広告企業『 マイナビ 』の調査によると、求職者がダントツ一番に求める職場への条件は、『 楽しく働きたい 』というものでした。反対にマイナスの第一位は『 暗い雰囲気はイヤ 』で、断然に明るい社風が求められています。
 そして老若男女、時代を超え望まれる職場は、申し上げるまでもなく『 従業員を大事にする会社 』に他なりません。

 求職者は大なり小なり、応募先には不安を抱いているものです。従って採用側の担当者は、電話にせよメールにせよ応募者の安心を勝ち取るための、最善の対応を心掛ける必要があります。応募に対する嬉しい気持ちを、心から言うくらいは不可欠です。こちらから自ら名乗り応募者を名前で呼び、故郷の話でも聞いてあげれば( 外国人であれば尚更 )、お店に大きな親近感を持ってくれます。想定問答ではありませんがどなたかに応募者役になってもらい、『 嗚呼、本当にここを応募して良かったナ~ 』と思わせる素晴らしい対応を、繰り返し模索していただきたいと思います。
 また当然のことですが採用後、期待と現実との間にギャップが有れば離職されてしまいます。無理な背伸びをする必要はありませんが、社内を総点検し、入社直後の離職者など出さないようたとえ徐々にではあっても、労働条件と職場環境を改善していただきたいとも思います。

 かつての就職氷河期には、求職者がいかにして自分を良く見せようかと腐心したものです。しかし現在の様な採用氷河期には、人財を求める側にこそ、種々の努力ができていなければなりません。
良い人財も定着してこそスキルが伸び、お客さんからの愛着と信頼も生まれ、必然的に会社への貢献度も増してゆきます。人財獲得に難のある会社は、その存続さえおぼつかなくなることは必至です。

 面接時の応募者への対応、そして採用者の定着を図る為のノウハウは、日頃から練り上げていなければなりません。しかし全ては、面接に来てもらわなければ始まらないのです。面接に至る前の段階で、『 ここは安心して働けそうな職場だな 』『 楽しく働けそうだな 』『 従業員を大事にしているな 』と思ってもらえる採用側の『 心根 』も、普段から整えておきたいものです。そのために必要なものは、決してテクニックなどではありません。それは私達の、『 人をどのように考えるか 』という、偽りの無いところの人生観の問題なのだと思います。因みにその人生観ですが、ほんの僅かな気付きからでも変わってゆくものです。
 
 立場は違っていても人間として相手は対等だと思えれば、自ずから敬意を伴った話し方になってゆきます。また自分が応募側の心情になれれば、思いやりの籠った口調にもなれます。
 
 ハローワークからの応募で職員さんを介しての質問が有れば、お願いして電話を替わってもらっていただきたいと思います。そして『 あなたの希望に沿った働き方や処遇を、一緒になって考えますよ 』と優しく伝えてあげていただきたいのです。私が飲食店経営をしていた時、応募者が面接に来ないなどという事例は、全くもって皆無でした。
 
 相手の心に寄り添おうと心掛けさえすれば、応募者は必ず面接にまで来てくれます。
 『 自分のことを、本当に大切にしてくれているのか? 』と考えるのは、お客さんばかりではなく、働く人々も同様なのだと強く思います。

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